Dr. Aisaku Yamamoto
2026.04.09
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【皮膚科医が解説】アレルギーは「肌」から始まる?赤ちゃんのスキンケアで「アレルギーマーチ」を予防しよう!

「うちの子、肌がカサカサしやすいみたい…」 「離乳食を始めるのが怖いけれど、いつからが良いの?」

大切なお子さんの健やかな成長を願うパパ・ママにとって、「アレルギー」はとても気になるテーマですよね。

実は近年の研究で、「アレルギーは、お口からではなく、荒れた皮膚から始まる」という驚きの事実が分かってきました。今回は、皮膚科医の視点から、一生続くアレルギーの連鎖(アレルギーマーチ)を食い止めるための、「スキンケアから始まるアレルギー予防法」を分かりやすくお伝えします。

1. アレルギーの連鎖「アレルギーマーチ」ってなに?

アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎など、アレルギー疾患には多くの種類がありますが、これらがまるで「行進(マーチ)」のように、次から次へと連鎖して発症していくことを「アレルギーマーチ」と呼びます。

アレルギーマーチに悩まされる方は多くいらっしゃいますが、その始まりは乳幼児期の「アトピー性皮膚炎(湿疹)」であることが多いです。この最初のドミノを倒さないこと、あるいは倒れてもすぐに立て直すことが、その後のアレルギーを防ぐ鍵になります。

2. なぜ「肌」が原因?知っておきたい「経皮感作」の仕組み

以前は「アレルギーの原因となる食物を食べることでアレルギーになる」と考えられていました。しかし現在は「荒れた皮膚からアレルゲンが入り込むことで、体がそれを『敵』だと覚えてしまう(経皮感作)」ことが原因だと判明しています。

皮膚は「お城の壁」、お口は「学びの場」

私たちの体には、面白い仕組みがあります。

  • 皮膚からの侵入(経皮感作):
    バリアが壊れた皮膚からダニや食べ物のカスが入ると、免疫システムは「壁を越えて侵入してきた敵だ!」と判断し、攻撃の準備を整えてしまいます。
  • お口からの摂取(経口免疫寛容):
    逆に、消化管から入ってきたものに対しては、体は「これは栄養だから仲良くしよう」と、食べても大丈夫なように学習します。

専門的には、これを「二重抗原曝露理論」と呼びます。
かつて、「茶のしずく石鹸」の使用で小麦アレルギーになってしまった患者さんが多数発生した痛ましい事件がありましたが、これも石鹸に含まれる小麦成分が「荒れた肌」から入り込んだことが原因でした。

3. 皮膚科医がすすめる「アレルギー発症予防」3つのステップ

アレルギーマーチを止めるために、今日からお家でできる大切なケアをご紹介します。

① 生まれた瞬間からの「徹底保湿」

正常な皮膚は、角質がバリアとなって異物の侵入を防いでいます。 研究では、新生児期から全身に保湿剤を塗ることで、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かっています。お風呂上がりだけでなく、こまめに保湿をして「お城の壁(バリア機能)」を強化しましょう。

② 湿疹は放置せず、速やかに「炎症ゼロ」へ

もし湿疹が出てしまったら、「いつか治るだろう」と放っておくのは危険です。湿疹が生じている期間が長いほど、そこからアレルゲンが入り込み、食物アレルギーを発症しやすくなるからです。 皮膚科で適切な治療を受け、「見た目に赤いところがなく、触ってもザラつきがない状態(湿疹ゼロ)」を維持することが重要です。

③ 離乳食は「遅らせない」

「アレルギーが怖いから離乳食を遅らせる」という考え方は、現在では否定されています。むしろ、湿疹をしっかり治した状態で、生後5〜6ヶ月頃から適切に離乳食を始めることで、お口からの「仲良し学習(免疫寛容)」が進み、食物アレルギーを予防できることが分かってきました。

皮膚科医からのメッセージ:スキンケアは最高のプレゼント

お子さんの肌をモチモチに保つことは、単に肌を綺麗にするだけでなく、将来のアレルギーから守るための「最高のプレゼント」になります。

「これって乳児湿疹?」「スキンケアの方法は合っているかな?」と少しでも不安になったら、いつでもお気軽に大井町駅前皮ふ科へご相談ください。

医療法人社団恒潤会(大井町駅前皮ふ科)
山本亜偉策

このコラムの執筆者
Dr. Aisaku Yamamoto
医療法人社団恒潤会 理事長。東京都出身。 昭和大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科修了ののち、同大学病院や都立病院等で勤務医として経験を重ねる。この勤務医時代に「武蔵小杉エリアには皮膚科が少ない」というお困りの声を伺ったことがきっかけで、2008年、皮膚科クリニック「こすぎ皮ふ科」を開業。その後2012年に「御嶽山皮ふ科」、2014年に「武蔵小杉皮ふ科」、2017年に「下丸子皮ふ科」、2026年に「大井町駅前皮ふ科」を開業。複数の皮膚科クリニックを運営する理事長業と並行しつつも、現在も診療現場にて、皮膚のことでお悩みになる方を1人でも減らすことを目標に治療にあたっている。プライベートでは筋トレ、ゴルフ、Mrs. Green Appleをこよなく愛している。
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